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腕立て伏せ、懸垂、ディップス、プランクなどの自重種目には、バーベルのような分かりやすい外部重量がありません。しかし、重量欄が0kgだからといって記録できないわけではありません。記録に残すべきなのは完了した回数や保持秒数、そして前回と同じ条件で比較できる実施条件です。体重をそのまま挙上重量へ換算する必要はありません。
この記事の要点:
- 反復種目は回数とRIR(用語集を新しいタブで開く)、保持種目は秒数と終了基準を残す
- 変法・支持位置・補助条件が変わったら、別種目かメモで分ける
- 体重kgをvolume-load(用語集を新しいタブで開く)へ入れず、時間制セットをrep(用語集を新しいタブで開く)やe1RM(用語集を新しいタブで開く)へ混ぜない
- サーキットは時間、回数、活動全体のRPE(用語集を新しいタブで開く)で記録する
- 比較の中心は数字の大きさではなく、再現できる実施条件である
自重種目では、目的に応じて次の情報を残します。
- 動作を繰り返す種目:完了回数、セット数、RIR
- 姿勢を保持する種目:保持時間、セット数、終了基準
- 難易度を変えた種目:変法、支持位置、可動域(用語集を新しいタブで開く)、補助条件
- サーキットや全身運動:時間、回数、活動全体のRPE
前回と比較できる実施条件を残すことが、自重トレーニング記録の中心です。健康成人のレジスタンストレーニングを扱ったACSMの2026年ポジションスタンドも、処方を目的や能力へ合わせる必要性を整理していますが、自重を外部重量へ変換する共通式は示していません。1
「自重・時間制トレーニングをアプリで記録する方法」では何を確認する?
腕立て伏せ、懸垂、ディップス、プランクなどの自重種目には、バーベルのような分かりやすい外部重量がありません。関連資料 1 / 関連資料 2図解の参照資料 4件
最初に「何を成果指標にするか」を決める
結論は、同じ動作でも目的が違えば記録する値が変わる、ということです。先に主指標を決め、補助情報は比較に必要なものだけ残します。
| 実施例 | 主に残す値 | 補助情報 |
|---|---|---|
| 腕立て伏せを3セット | 回数・セット数 | RIR、手幅、可動域、テンポ |
| 懸垂を3セット | 回数・セット数 | RIR、グリップ、反動の有無、補助条件 |
| プランクを3セット | 秒数・セット数 | 支持位置、姿勢を崩した終了条件 |
| 20秒のマウンテンクライマー | 秒数または回数 | 活動RPE、休息時間(用語集を新しいタブで開く) |
| バーピーを含む10分サーキット | 総時間・回数 | 活動RPE、ステーション構成 |
「自重かどうか」だけでは分類できません。腕立て伏せを筋力セットとして行う場合と、20秒間できるだけ繰り返すサーキットでは、同じ動作でもトレーニングの構造が異なります。次の行動は、今回の実施が反復セットなのか、保持なのか、時間制限の活動なのかを先に決めることです。
比較可能なログは数値と条件を別々に残す
- 01重量外的負荷
- 02回数完了したrep数
- 03RIR残せたと思うrep数の自己評価
- 04メモフォーム・痛み・環境などの文脈
腕立て伏せ・懸垂は回数とRIRを記録する
結論は、反復する自重種目は完了回数とRIRを残す、ということです。RIR(Repetitions in Reserve)は、同じフォームであと何回できそうだったかの本人推定です。
腕立て伏せ
0kg × 15回
RIR 2
通常フォーム・胸が床付近へ到達
純粋な自重種目の0kgは「身体への負荷がない」という意味ではなく、重量欄へ入力する追加外部負荷がないことを表します。RIRは、同じフォームと可動域を保ったまま、あと何回できそうだったかという本人の推定です。
読み方は、RIRは便利な余力メモであり、精密測定ではない、という点です。12研究・414人を扱ったレビューでは、限界までの残り反復を平均0.95回過小に見積もり、研究間の異質性も非常に大きい結果でした(I²(用語集を新しいタブで開く)=97.9%)。4 自重種目へ特化した値ではなく、毎回完全に正確な測定値として扱うべきではありません。入力基準は「RIRとは?筋トレの余力を数値化して記録する方法」で詳しく解説しています。
プランクは回数ではなく秒数を記録する
結論は、姿勢を維持する種目は回数ではなく保持秒数を残す、ということです。あわせて、どの姿勢で終了したかも決めます。
フロントプランク
45秒 × 3セット
肘支持・足幅は腰幅
腰椎中間位を維持できなくなった時点で終了
「何秒耐えたか」だけでなく、どの姿勢を維持できた時間なのかを決めます。同じ60秒でも、肘の位置、足幅、骨盤位置、呼吸、フォーム終了基準が違えば同条件とはいえません。
読み方は、秒数だけでは適応を説明しきれない、という点です。等尺性トレーニングの系統的レビュー(用語集を新しいタブで開く)でも、長期適応(用語集を新しいタブで開く)には保持時間だけでなく、筋長、関節角度、収縮強度、力を出す意図などが関わると整理されています。5 秒数が長いほど、あらゆる目的で優れているとは限りません。
36人を対象にした特殊な段階式プランクテストでは、最初の1試行を慣熟として扱った後の再検査信頼性はICC(用語集を新しいタブで開く) 0.99でした。6 特定プロトコルの結果であり、一般的な自由保持プランクへその値や慣熟手順をそのまま当てはめることはできません。次の行動は、秒数とフォーム終了基準をセットで残すことです。
残り秒数をRIRへ換算しない
RIRは残り「反復回数」の推定です。プランクをあと20秒保持できそうでも、それを機械的に「RIR 2」へ変換する検証済みの基準はありません。時間制保持でRIRの意味を一貫して定義できない場合は、RIRを未記録にし、実施秒数とフォーム終了基準を優先します。
体重をそのままボリュームへ入れない
結論は、体重を回数に掛けてボリュームとしない、ということです。理由は、自重種目の力学的負荷が体重そのものではないからです。
体重70kgの人が腕立て伏せを10回行っても、70kg × 10回 = 700kgと計算することは適切ではありません。
読み方は、腕立て伏せの床反力は体重より小さく、変法でも変わる、という点です。23人を対象にした腕立て伏せの生体力学研究では、通常姿勢で測定されたピーク垂直床反力は体重の0.64±0.04倍で、通常姿勢を含む6条件全体では0.41〜0.74倍でした。3 46種類のプッシュアップ変法を扱った系統的レビューでも、支持位置や動作方法によって力学的負荷が異なると整理されています。10
これらは腕立て伏せの特定条件で得た値です。懸垂、ディップス、スクワット、プランクへ同じ係数を使えません。また、通常のアプリ記録だけでは、身体各部の質量、位置、加速度、外部支持を測定できません。
次の行動は、次の4つを別々に扱うことです。
- 外部重量:追加プレートやウェイトベストなど、測定できる追加負荷
- 体重:実施時の身体条件
- 実績:回数または秒数
- 難易度:変法、支持位置、補助、可動域
変法は別種目またはメモで区別する
結論は、難易度が変わったら回数だけを比較しない、ということです。変法は別種目にするか、比較に必要な条件だけメモします。
腕立て伏せ15回から足上げ腕立て伏せ10回へ変えた場合、回数が減っても能力が低下したとは限りません。運動条件が難しくなった可能性があります。
比較したい変法は、名称を分けると履歴が混ざりません。
腕立て伏せ
膝つき腕立て伏せ
足上げ腕立て伏せ・台40cm
リング腕立て伏せ
テンポ腕立て伏せ・下降3秒
カタログに適切な変法がない場合、kageではカスタム種目を作成できます。手幅、支持位置、台の高さ、バンド、可動域、テンポ、反動、終了基準などは、前回との比較に必要なものだけメモへ残します。
読み方は、記録項目を増やすほど成果が上がる、という介入効果ではない、という点です。レジスタンストレーニングの監視・報告に関するレビューでも、外部重量と回数だけではなく、可動域、反復速度、休憩、限界までの近さなど複数の変数を文脈として扱う必要があると整理されています。29 これは「項目を多く記録すれば成果が上がる」という介入効果を示すものではないため、比較を左右しそうな変更点へ絞るのが現実的です。
動作テンポとTUTを秒数PRにしない
結論は、テンポを変えても主指標が回数なら、秒数PR(用語集を新しいタブで開く)へ置き換えない、ということです。テンポは実施条件として残します。
腕立て伏せを「3秒かけて下ろす」場合でも、主な成果指標が完了回数なら、通常の反復セットとして記録し、テンポを条件として残します。
読み方は、広いテンポ範囲で筋肥大(用語集を新しいタブで開く)が同程度だった、という報告であり、長いほど良いという因果ではない、という点です。TUT(用語集を新しいタブで開く)(time under tension)は、反復中に筋が張力を発揮していた時間を表す概念です。8研究をまとめた系統的レビュー・メタ解析(用語集を新しいタブで開く)では、1回あたり約0.5〜8秒の範囲で筋肥大結果は概ね同程度でした。7
ただし、対象は動的運動を限界まで行った試験で、研究数も少数でした。すべてのテンポや自重種目へ一般化できず、TUTが長いほど筋肥大効果が大きいという単純な因果関係は示しません。
筋力タイムドセットとコンディショニングを分ける
結論は、タイマーを使うこととコンディショニングは同じではない、ということです。姿勢保持の筋力セットと、時間制限の全身活動は分けて残します。
時間を測る運動が、すべて有酸素・コンディショニングになるわけではありません。
筋力の時間制セット
プランク、サイドプランク、ウォールシット、等尺性懸垂保持などは、筋力種目の時間制セットとして記録できます。1回の時間制実施は記録上1セットとして残りますが、成績値はrepではなく実施秒数です。分析上の通常ワークセット(用語集を新しいタブで開く)数とは分けて扱います。
コンディショニング活動
バーピーを5分間続ける、20秒マウンテンクライマーと10秒休息を8本行う、複数の自重運動を回るといった構造は、コンディショニングとして時間、回数、活動RPEを残します。
コンディショニングのRPE 1〜10は活動全体のきつさです。筋力セットの残り反復を表すRIRとは別で、相互に自動変換しません。名称やタイマーを使った事実だけではなく、プログラム上のactivity domainで区別します。
kageでの自重・時間制記録
ここからは研究上の一般論ではなく、現在のkage製品仕様です。
回数制の自重種目
kageでは、自重器具区分の初期重量は0kgです。通常、superset(用語集を新しいタブで開く)、drop set(用語集を新しいタブで開く)、myo-reps(用語集を新しいタブで開く)、AMRAP(用語集を新しいタブで開く)の非時間制セットは、完了回数があればワークセットとして記録されます。0kgでも回数、RIR、セット数、主働筋(用語集を新しいタブで開く)セットの履歴を残せます。
一方、kageのload volumeは外部重量と回数の積です。純粋な自重セットを0kgで記録した場合、load volumeは0kgになります。これは運動刺激が0という意味ではなく、外部重量×回数という集計が自重負荷を表していないという意味です。体重を自動で重量欄へ足したり、体重×回数へ換算したりしません。
Epley式によるe1RMも外部重量を使うため、0kgの純粋な自重セットの能力評価には適しません。同じ変法での回数、RIR、可動域、支持条件を優先して比較します。計算対象と限界は「推定1RM(e1RM)とは?」、負荷量の定義は「筋トレのボリューム計算方法」を参照してください。
時間制の筋力セット
セットタイプを時間制にすると、kageは回数ではなく実施秒数を保存します。時間制セットは履歴の詳細には残りますが、重量・回数PR、e1RM、総rep、分析上のワークセット数、load volumeから除外され、時間制セットとして別に報告されます。
秒数をrepへ置き換えたり、秒数からe1RMを計算したりしません。筋力フローのRIR入力は任意ですが、保持時間の「残り秒数」をRIRへ変換する基準はありません。意味を一貫して定義できない場合は未記録にします。
有酸素・コンディショニング
kageの有酸素・コンディショニングは、筋力セットとは別の活動記録です。活動に応じて時間、距離、回数、活動RPEなどを保存します。
コンディショニングの回数は、筋力セットのrep、PR、e1RM、筋群回復用の論理セット(用語集を新しいタブで開く)へ加えません。筋力セット数、有酸素時間、インターバルwork本数を一つの分母や合計値へ混ぜることもありません。
記録を進歩へつなげる手順
次の順で記録すると、比較対象がぶれにくくなります。
- 動作の繰り返しが主目的なら回数を記録する
- 姿勢保持が主目的なら秒数を記録する
- 筋力セットならRIR、活動全体ならRPEを使う
- 変法、支持位置、補助条件が変わったら区別する
- 体重をそのまま外部重量へ変換しない
- 同じ種目・同じ条件で前回と比較する
進歩は重量を増やすことだけではありません。読み方は、回数進行も適応の一経路になり得るが、自重や保持を直接示した試験ではない、という点です。43人を対象にした8週間の試験では、動的筋力は重量増加群をわずかに、大腿直筋の筋肥大は回数増加群をわずかに支持し、その他の顕著な群間差は確認されませんでした。8 ただし、下半身の動的トレーニングを扱った短期試験であり、自重種目の変法や時間制保持を直接検証したものではありません。同条件比較の考え方は「前回と同じセットを比較するメリット」でも説明しています。
重量がない種目でも、比較条件と進行方法を明確にすれば推移を追えます。記録の基本は「筋トレ記録の付け方」も参照してください。
まとめ
自重・時間制トレーニングでは、バーベルと同じ重量指標へ無理に変換する必要はありません。残すのは、次回も再現できる実績と条件です。
- 腕立て伏せや懸垂は回数、RIR、変法を残す
- プランクは秒数とフォーム終了基準を残す
- サーキットは時間、回数、活動RPEで記録する
- 体重kgをそのままvolume-loadへ使わない
- 時間制セットをrepやe1RMへ混ぜない
- TUTが長いほど筋肥大効果が高いと断定しない
数字を大きく見せることより、次回も再現できる条件を残すことが重要です。
参考文献
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この記事は一般的なトレーニング情報であり、診断、治療、個別の医療助言ではありません。
