文中の点線付き用語を選ぶと、筋トレ・記録用語集を新しいタブで確認できます。
部位別の前回実施日は、その部位を最後に記録したセッションを見つけるための事実です。ただし、「前回から48時間たったから完全回復」「1週間空いたから今日は高重量で行うべき」とは断定できません。
経過時間は回復の材料の一つです。実施量、限界までの近さ、種目、睡眠、主観的疲労(用語集を新しいタブで開く)、筋肉痛、当日の動作や性能は別々に確認する必要があります。
「部位別の前回実施日を確認する方法|回復済みと断定しない記録の見方」では何を確認する?
部位別の前回実施日は、その部位を最後に記録したセッションを見つけるための事実です。関連資料 1図解の参照資料 4件
この記事の要点
- 前回実施日は、該当部位を主働筋(用語集を新しいタブで開く)または補助筋とする最新セッションの日時です。
- 経過時間だけでは回復完了を決められません。指標ごとに戻る時刻が違うことがあります。
- 日付のあとに、種目・量・RIR(用語集を新しいタブで開く)(あと何回できそうかの自己推定)・今日の状態を並べます。
- kageの部位ラベルは、最終セット時刻ではなく、原則としてセッション終了時刻です。
- 48・168・336時間は製品の表示区分であり、生理学的な回復閾値ではありません。
前回実施日は「最後の該当セッション」として確認する
実務では、次の手順で確認します。
- 確認したい部位を決める
- その部位を主働筋または補助筋とする種目を挙げる
- 履歴で、それらの種目を含む最も新しいセッションを探す
- セッション日時、種目、セット内容、RIRを確認する
- 今日の体調や予定と並べて判断する
たとえば胸を確認するとき、ベンチプレスだけでなく、種目データ上で胸が補助対象になっている種目も候補になります。逆に、「プッシュの日」というセッション名だけでは、胸の種目が実際に記録されたか分かりません。
日付だけでなく、セッション詳細まで開くほうが確実です。
Kageの履歴では月・年表示から日付を選び、保存済みセッションの種目とセットを確認できます。現行版には「部位を選ぶと正確な前回日時を一覧表示する」専用フィルターはありません。部位別の厳密な日時が必要なら、履歴内の該当セッションを確認します。
回復には複数の時間軸があり一つの固定時間へまとめられない
- 01実施からの時間calendar上の経過
- 02筋肉痛本人が感じる変化
- 03performance同条件での実績
- 04生活条件睡眠・栄養・日程
経過時間だけで回復を決められない理由
レジスタンストレーニング後の回復は一つの現象ではありません。少なくとも、次の指標は区別します。
- 同じ重量や反復で発揮できるパフォーマンス
- 筋肉痛や知覚された回復感
- 心拍変動(用語集を新しいタブで開く)などの自律神経指標
- 血中マーカーなどの生化学指標
- 筋タンパク質合成(用語集を新しいタブで開く)などの生理学的反応
読み方の要点は次です。固定の経過時間で全員の準備状態を決めた研究ではありません。失敗の有無や種目によって回復要求が変わる、という整理です。
これらの時間経過は一致するとは限りません。 レジスタンストレーニングのセッション間回復を扱った24研究のレビューは、失敗まで行うか、量、下半身・多関節種目、伸張性収縮などによって回復要求が変わり、個人差も大きいと整理しています。1 固定時間だけで全員の準備状態を決める根拠にはなりません。
トレーニング経験のある男性10人がベンチプレスとスクワットを行った研究では、失敗まで行う条件は非失敗条件より、神経筋性能や一部の生化学指標の回復が遅く、差は24〜48時間にみられました。2 しかし、対象は10人で、特定のプロトコルを最長72時間追跡した結果です。 「48時間なら全員回復」という基準ではありません。
指標ごとに回復の時刻が違うことがある
読み方の要点は次です。心拍変動(HRV)、神経筋性能、主観的回復が同じ時刻に戻るとは限りません。一つの指標から他の回復を推定した研究ではありません。
トレーニング経験のある男性10人が高強度のスクワット、ベンチプレス、プルダウンを失敗まで6セット行った研究では、HRVは24時間で基準値との差がなくなり、神経筋指標は48時間で差がなくなりました。一方、主観的な回復感と筋肉痛は48時間時点でも低下していました。3 さらに、指標同士の変化には有意な関連が確認されませんでした。
この小規模研究から全員の回復日数を決めることはできませんが、HRVが戻った、筋肉痛が消えた、重量が挙がった、という一つの結果から他の回復まで推定しない理由になります。
競技者を対象とした56研究の系統的レビュー(用語集を新しいタブで開く)でも、主観的なウェルビーイング指標と客観指標は一般に相関(用語集を新しいタブで開く)せず、主観指標はトレーニング負荷の変化へ比較的敏感に反応しました。4 これは主観だけで医学的な回復を診断できるという意味ではなく、異なる情報源として並べる根拠です。
同じ部位でも、前回の内容を確認する
前回実施日が同じでも、回復要求はセッション内容で変わり得ます。日付のあとに、最低限次を確認します。
| 確認項目 | 履歴で見る内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 種目 | 単関節か多関節か、上半身か下半身か | 種目名だけで個人の疲労量は決まらない |
| 量 | ワークセット(用語集を新しいタブで開く)、回数 | 異種目のkg合計を回復スコアにしない |
| 努力度 | RIR、失敗まで行ったか | RIRは本人の推定値 |
| 動作条件 | 可動域(用語集を新しいタブで開く)、テンポ、補助 | アプリが自動判定しない条件もある |
| 主観 | 疲労感、筋肉痛、痛み | 筋肉痛と傷害を同一視しない |
読み方の要点は次です。失敗へ近いほど直後の疲労反応は大きくなり得ます。個人の次回実施可否を決める万能な時間表ではありません。
トレーニング経験者24人がベンチプレス6セットを失敗、RIR 1、RIR 3で行ったランダム化クロスオーバー(用語集を新しいタブで開く)研究では、失敗へ近い条件ほど直後の挙上速度(用語集を新しいタブで開く)低下と否定的な知覚反応が大きく、24時間時点にも条件差がありました。5 48時間ではプロトコル間差が小さくなりましたが、単一種目・短期の急性試験です。 個人の次回実施可否を決める万能な時間表ではありません。
kageの身体図が使う「前回」の定義
ここからは研究上の回復定義ではなく、2026年9月2日時点のkageのiOS・Android実装です。
kageのホーム身体図は、部位ごとの直近時刻を次のように求めます。
- 保存済みの全セッションを確認する
- セッションに含まれる実施種目の主働筋と全補助筋を対象にする
- そのセッションの終了時刻を部位の時刻とする
- 終了時刻がないセッションは開始時刻を使う
- 同じ部位について最も新しい時刻から現在までの経過時間を計算する
重要なのは、最後のセットを完了した時刻ではないことです。また、現行ロジックは各セットの有無、complete・partial、回数、RIRを見ず、performedExerciseとしてセッションに含まれた種目を基準にします。
たとえば19時に胸の種目を終え、別部位を続けて21時にセッションを終了した場合、胸の基準時刻も21時になります。 部位別表示は時間の目安であり、セット単位の精密な回復時計ではありません。 主働筋と補助筋にも同じセッション時刻が入ります。
48・168・336時間は製品ラベル
kage内部では経過時間を次の状態へ分類します。
| 経過時間 | 内部状態 | 読み方 |
|---|---|---|
| 48時間未満 | recovering | 直近記録から短い区間という製品表示 |
| 48時間以上168時間未満 | peakWindow | kage内の候補区間 |
| 168時間以上336時間未満 | rested | 記録間隔が空いた区間 |
| 336時間以上 | neglected | さらに長く記録がない区間 |
| 対象履歴なし | untrained | 対応する実施種目が未記録 |
48時間、168時間(7日)、336時間(14日)は、kageの表示を決める製品ヒューリスティックです。 48時間で生理学的に回復した、48〜168時間が科学的な成長ピーク、336時間で筋力が低下した、という意味ではありません。
ホームの「候補」「回復中」「間隔あり」「未記録」なども、予定確認を助ける表示です。
peakWindowだからその部位を必ず実施すべき、recoveringだから運動禁止、とは扱わないでください。
身体図の候補はアクティブなプログラム順を自動で置き換えません。
前回実施日と今日の判断を分ける
編集部では、日付確認と当日判断を次のように分けることを提案します。
記録事実:胸に紐づく最新セッションは3日前
前回内容:ベンチプレス3セット、RIR 1〜2
今日の情報:ウォームアップ重量が重く感じる、肩に痛みなし
対応:最初のワークセット前に重量または量を再検討
記録事実:脚に紐づく最新セッションは10日前
前回内容:スクワットを含む
今日の情報:発熱後で体調が戻っていない
対応:経過日数だけを理由に高強度で再開しない
この手順が傷害を予防したり、最適頻度を特定したりする直接証拠はありません。日付を事実として固定し、前回内容と今日の情報を混同しないための編集部提案です。
部位別セット数も一緒に見る場合は「部位別トレーニング履歴の読み方」、長期的な低下を確認する場合は「筋トレ記録から停滞期を見つける方法」を参照してください。RIRの記録方法は「RIRとは?」で解説しています。
本稿の限界
採用研究の多くは、小規模な急性試験または異なるトレーニング条件をまとめたレビューです。 部位別の経過時間ラベルをアプリで見ることが、回復、傷害予防、筋力・筋肥大(用語集を新しいタブで開く)を改善するかを直接検証した研究ではありません。
また、kageの部位ラベルは種目データ上の主働筋・補助筋に基づきます。 個人のフォームや筋活動をセンサーで測っているわけではありません。 強い痛み、腫れ、脱力、しびれ、体調不良がある場合は、アプリの時間表示で判断せず、必要に応じて医療専門家へ相談してください。
まとめ
部位別の前回実施日は、回復完了の判定ではなく履歴整理に使います。
- 該当部位を主働筋・補助筋とする最新セッションを確認する
- 経過日数だけでなく、前回の種目、量、RIR、今日の状態を見る
- 筋肉痛、HRV、性能回復、筋タンパク質合成を同じものとみなさない
- kageの基準時刻は最終セットではなく、原則として該当種目を含むセッション終了時刻
- 48・168・336時間は製品上の区分で、生理学的な回復閾値ではない
日付は判断そのものではありません。前回の事実を正確に思い出し、今日の条件を点検するための一材料です。
参考文献
- Sousa CA, Zourdos MC, Storey AG, Helms ER. The Importance of Recovery in Resistance Training Microcycle Construction. J Hum Kinet. 2024. DOI: 10.5114/jhk/186659
- Morán-Navarro R, Pérez CE, Mora-Rodríguez R, et al. Time course of recovery following resistance training leading or not to failure. Eur J Appl Physiol. 2017. DOI: 10.1007/s00421-017-3725-7
- Flatt AA, Globensky L, Bass E, Sapp BL, Riemann BL. Heart Rate Variability, Neuromuscular and Perceptual Recovery Following Resistance Training. Sports (Basel). 2019. DOI: 10.3390/sports7100225
- Saw AE, Main LC, Gastin PB. Monitoring the athlete training response: subjective self-reported measures trump commonly used objective measures: a systematic review. Br J Sports Med. 2016. DOI: 10.1136/bjsports-2015-094758
- Refalo MC, Helms ER, Hamilton DL, Fyfe JJ. Influence of Resistance Training Proximity-to-Failure, Determined by Repetitions-in-Reserve, on Neuromuscular Fatigue in Resistance-Trained Males and Females. Sports Med Open. 2023. DOI: 10.1186/s40798-023-00554-y
根拠の選定・更新方法は編集・エビデンス方針をご覧ください。
この記事は一般的なトレーニング情報であり、回復状態、傷害、疾病の診断や個別の医療助言ではありません。
