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分析・回復

RIR分布グラフの読み方|高努力セットの偏りを振り返る

RIR分布グラフを、0〜1・2〜3・4以上・未記録の分母と記録率から読む方法を解説。高努力セットの多さを最適・危険と決めず、期間や目的と合わせて振り返ります。

kage編集部が参考文献とアプリ仕様を確認しています。医療監修を示すものではありません。

文中の点線付き用語を選ぶと、筋トレ・記録用語集を新しいタブで確認できます。

RIR(用語集を新しいタブで開く)分布グラフは、選んだ期間のセットを「限界にどれだけ近いと記録したか」で並べたものです。見る順番は、高努力セットの割合より先に、全ワークセット(用語集を新しいタブで開く)数とRIR記録率(用語集を新しいタブで開く)を確認することです。

RIR 0〜3が多いから最適、RIR 4以上が多いから無駄、未記録が多いから低努力とは判断できません。分布は実施内容の記述であり、成果、回復、安全性を直接測る検査ではありません。

RIRそのものの意味と入力方法は「RIRとは?筋トレの余力を数値化して記録する方法」を先に参照してください。本稿は記録後のグラフ解釈に限定します。

  • 先に見るのは、期間内の全ワークセット数とRIR記録率です。
  • 0〜1、2〜3、4+、未記録の四区分を残し、未記録を分母から外しません。
  • 分布は記録の記述であり、最適・危険・成果の検査ではありません。
  • RIRは推定値なので、1回差を絶対的な生理差とは扱いません。
  • 期間比較は、種目・セット数・記録率を揃えてから四区分を見ます。
要点マップ

「RIR分布グラフの読み方|高努力セットの偏りを振り返る」では何を確認する?

RIR分布グラフは、選んだ期間のセットを「限界にどれだけ近いと記録したか」で並べたものです。関連資料 1
  1. RIR分布は「何セットを分母にしたか」から読む関連資料 1
  2. 四つの区分が答えること関連資料 1
  3. 「高努力セット」は製品上のまとめ方関連資料 1
結論と補助ポイントを分けて整理した図。観察項目を整理する図で、回復・疾病・運動可否を診断しない。 記事固有の編集図。本文の判断軸を要約する模式図であり、科学的証拠、効果保証、個別の診断・処方、Kageの実画面を示すものではない。確認日
図解の参照資料 2件

RIR分布は「何セットを分母にしたか」から読む

例えば、同じ「RIR 0〜1が5セット」でも、全10セット中の5セットと、全30セット中の5セットでは意味が違います。

30セットのうちRIRを記録したのが6セットだけなら、その6セットが期間全体を代表するとは限りません。

最初に次の三つを確認します。

  1. 期間内のワークセットは何セットか
  2. そのうちRIRを記録したセットは何セットか
  3. 未記録を含む全セットに対し、各区分が何セットか

記録率は「RIR記録セット数÷ワークセット数」です。

高努力セットだけ毎回入力し、軽いセットは空欄にしている場合、記録済みセットだけの割合は高努力側へ偏ります。未記録を分母から消さないことが重要です。

RIRは余力の主観推定であり実測回数ではない

Editorial mapRIR 0から高い余力までを主観尺度として並べ、測定値との違いを示す
  1. 01RIR 3以上まだ複数回できそう
  2. 02RIR 2あと2回できそう
  3. 03RIR 1あと1回できそう
  4. 04RIR 0もう1回は難しそう
RIRは同じ条件で反復記録し、単一点を断定に使わない。共有図解は本文の概念を整理する編集上の模式図であり、科学的証拠、効果保証、個別の診断・処方、Kageの実画面を示すものではない。

四つの区分が答えること

各区分は、そのセットをどう記録したかの分類です。効果・安全・無駄を単独では判定しません。

区分 記録から言えること 単独では言えないこと
RIR 0〜1 限界まで0〜1回と見積もったセット 最も効果的、安全、必須
RIR 2〜3 2〜3回残せたと見積もったセット 科学的な最適域
RIR 4+ 4回以上残せたと記録されたセット 刺激がない、無駄
未記録 RIR値が保存されていないセット RIR 0、軽いセット

4+は入力・保存時点で上限をまとめるtop-codeです。RIR 4と、それより大きい余力の正確な値はRIR欄へ保存されないため、個別セットへ戻っても区別できません。必要なら、記録時に任意メモへ別途残します。

「高努力セット」は製品上のまとめ方

RIR 0〜1と2〜3を合わせて「RIR 0〜3」と数える表示は、期間内の高努力セットを見やすくする一つの方法です。しかし、0〜3が全員の科学的な最適域または安全域であることを意味しません。

読み方は次です。限界まで追い込むことの一貫した優位は、この統合では示されていません。一方で、余力を残す条件が常に同等だとまでは言えません。

2026年のACSM Position Standは、健康成人の6〜52週間のレジスタンストレーニングを扱う137件の系統的レビュー(用語集を新しいタブで開く)、3万人超のデータを統合しました。トレーニングは非運動より多くの筋機能・筋肥大(用語集を新しいタブで開く)指標を改善しましたが、momentary muscle fatigueまで行うことは成果へ一貫した影響を示しませんでした。1

これは「限界まで行く必要がない」「RIR 4以上が同じ」と全条件で証明したわけではありません。対象は健康成人、レビュー間の統合で、kageのRIR区分や理想分布を検証した研究ではありません。

RIRは測定値ではなく推定値

RIR(Repetitions(用語集を新しいタブで開く) in Reserve、限界までの残り回数の見積もり)は計測器の値ではなく、その時点の推定です。研究は誤差の大きさを示しますが、日常入力へ同じ数値を当てはめられません。

限界までの残り回数予測を扱った12研究・414人・262効果のスコーピングレビューと探索的メタ解析(用語集を新しいタブで開く)では、残り回数を平均0.95回過小予測しました。95%信頼区間(用語集を新しいタブで開く)は0.17〜1.73回、異質性はI²(用語集を新しいタブで開く) 97.9%でした。2

一方、トレーニング経験者24人が75%1RM(用語集を新しいタブで開く)のベンチプレスで1 RIRまたは3 RIRと感じた時点を申告し、その後failureまで行った研究では、方向を含む誤差は−0.17±1.00回、絶対誤差は0.65±0.78回でした。3

後者は男女各12人、単一種目、2セッションという限定条件です。どちらもセット前または途中で予測し、実際にfailureまで行って誤差を確認した研究です。通常のセット終了後にアプリへ入力するRIRへ、誤差量をそのまま適用できません。

分布の境界付近では、推定の1回差で区分が変わります。RIR 1と2の違いを絶対的な生理差とせず、同じ入力タイミングと基準で繰り返した記録として扱います。

高努力セットの多さと急性疲労

示されたのは、同じベンチプレス6セットの直後に、限界へ近い条件ほど挙上速度(用語集を新しいタブで開く)の低下が大きい場合があることです。個人の回復時刻や長期成果は、この試験だけでは決まりません。

トレーニング経験者24人が、75%1RMのベンチプレス6セットを3条件でランダムな順に行ったクロスオーバー試験(用語集を新しいタブで開く)では、failure、1 RIR、3 RIRの順に、運動4分後の挙上速度低下が大きくなりました。報告値はfailureで約25%、1 RIRで約13%、3 RIRで約8%でした。24時間後は約−3%、−3%、+2%で、48時間後には群間差がなくなりました。4

この研究は、同じベンチプレス6セットという急性条件で、限界へ近づくほど直後の神経筋疲労(用語集を新しいタブで開く)が大きくなり得ることを示します。RIR 0〜1の割合から個人の回復時刻、傷害リスク、長期成長を予測する研究ではありません。「48時間で全員回復」とする根拠にもできません。

分布から筋力・筋肥大を予測しない

グラフの割合から、筋力や筋肥大の目標比率は作れません。長期分析も、各セットの自己記録分布を直接集計したものではないためです。

長期研究をまとめた探索的メタ回帰(用語集を新しいタブで開く)では、介入記述から各研究のRIRを推定して分析しました。筋力では推定RIRの傾きの信頼区間がnullを含み、筋肥大ではfailureに近いほど増加する傾向が示されましたが、モデルのfitは限定的で、正確な用量反応は不明とされました。5

この解析は研究参加者が各セットで自己記録したRIR分布を直接集計したものではありません。したがって、アプリのグラフを見て「RIR 0〜1を何%にすれば筋肥大する」「2〜3が多ければ筋力が伸びる」といった画一的な目標比率を導くことはできません。

期間を比べるときの手順

次は理想分布を処方するものではなく、記録の変化を誤読しにくくする編集部提案です。順番は、対象の揃え、分母、四区分、個別セット、記録方針です。

1. 同じ集計対象か確認する

期間内の種目、プログラム、セットtypeが大きく違えば、分布差は努力配分だけの差ではありません。技術練習、軽い導入週、AMRAP(用語集を新しいタブで開く)中心の週など、目的を確認します。

2. セット数と記録率を並べる

「高努力10セット」を単独で比べません。全ワークセット数、RIR記録セット数、未記録数を並べます。全セット数が倍なら、高努力セット数が増えても割合は同じことがあります。

3. 四区分をそのまま比べる

0〜1、2〜3、4+、未記録を残します。0〜1と2〜3を合算した高努力セットだけでは、限界直前側へ移ったのか判断できません。

4. 個別セットへ戻る

偏りが変わった種目、セット位置、重量、回数を確認します。全身の分布だけで原因を決めません。

5. 次の期間も同じ記録方針を続ける

未記録を減らすなら、軽いセットも含め同じ基準で入力します。記録率の変化と実際の努力配分の変化を分けます。

kageのRIR分布グラフの仕様

ここからは2026年9月2日時点のkage仕様とiOS・Android実装です。

kageのAnalysisは、選んだ4・12・26週の全種目について、非timed(用語集を新しいタブで開く)かつ実施回数が1回以上の論理ワークセットを分布対象にします。normal(用語集を新しいタブで開く)、superset(用語集を新しいタブで開く)、drop、myo、AMRAPは、実施回数があれば対象です。partialも実施回数があれば1セットとして入り、別途partial数が表示されます。timedはRIR分布の対象外です。

ウォームアップ候補は表示専用でPerformedSetとして保存されないため、分布、履歴、PR(用語集を新しいタブで開く)、volumeへ入りません。

分布はRIR 0〜1、RIR 2〜3、RIR 4+、未記録の四区分です。未記録も全ワークセットの分母に残します。高努力セットは、RIRが記録された0〜3のセット数です。未記録を0〜3と推定しません。

左右別は、左右を合わせて一つの論理セット(用語集を新しいタブで開く)です。左右別にRIRを入力した場合は、小さい側、つまり余力が少ない側がセット共通RIRとして保存され、分布には一つのセットとして入ります。左右二本の分布にはなりません。

これらはグラフ集計の製品ルールです。RIR 0〜3を科学的な最適域、4以上を無効、特定割合を安全・危険と判定する機能ではありません。kageは分布から重量、セット、休養日を自動変更しません。

本稿の限界

使えるのは、記録の読み方と研究の範囲です。個人の最適分布や回復時刻は、ここにありません。

RIR精度研究はfailureまで継続して真値を確認する設計で、通常セット終了後の自己申告と完全には一致しません。急性疲労研究はベンチプレス1種目・24人で、長期の筋力、筋肥大、傷害を評価していません。探索的メタ回帰も研究記述からRIRを推定しています。

分布の五段階確認手順は編集部提案です。kageの四区分、0〜3の高努力区分、partialの算入も製品仕様であり、理想的な努力配分や成果を検証したものではありません。

まとめ

  • RIR分布は高努力割合より先に、全ワークセット数と記録率を見る
  • 0〜1、2〜3、4+、未記録の四区分を保ち、未記録を分母から消さない
  • 4+は上限をまとめた表示で、区分内の余力差は分からない
  • RIRは推定値で、1回差を確実な生理変化としない
  • RIR 0〜3はkageの高努力区分で、科学的な最適・安全域ではない
  • 分布から筋力、筋肥大、回復、傷害を予測しない

参考文献

  1. Currier BS, D'Souza AC, Fiatarone Singh MA, et al. American College of Sports Medicine Position Stand. Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults. Med Sci Sports Exerc. 2026. DOI: 10.1249/MSS.0000000000003897
  2. Halperin I, Malleron T, Har-Nir I, et al. Accuracy in Predicting Repetitions to Task Failure in Resistance Exercise. Sports Med. 2022. DOI: 10.1007/s40279-021-01559-x
  3. Refalo MC, Remmert JF, Pelland JC, et al. Accuracy of Intraset Repetitions-in-Reserve Predictions During the Bench Press Exercise. J Strength Cond Res. 2024. DOI: 10.1519/JSC.0000000000004653
  4. Refalo MC, Helms ER, Hamilton DL, Fyfe JJ. Influence of Resistance Training Proximity-to-Failure, Determined by Repetitions-in-Reserve, on Neuromuscular Fatigue. Sports Med Open. 2023. DOI: 10.1186/s40798-023-00554-y
  5. Robinson ZP, Pelland JC, Remmert JF, et al. Exploring the Dose-Response Relationship Between Estimated Resistance Training Proximity to Failure, Strength Gain, and Muscle Hypertrophy. Sports Med. 2024. DOI: 10.1007/s40279-024-02069-2

根拠の選定・更新方法は編集・エビデンス方針をご覧ください。

この記事は一般的なトレーニング情報であり、回復状態、傷害、疾病の診断や個別の医療助言ではありません。

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